令和２年度の卒業式の後に、校長先生より本の贈呈がありました。

  皆さんは福澤諭吉という人のことを知っていると思います。1万円札の人です。「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」という言葉や「学問のススメ」という本のことは聞いたことがあると思います。福澤は江戸時代から明治時代に渡り、日本が文明国の仲間入りをする中心人物であったのですが、実は、福澤は日本初の女性解放論者でもありました。男女同権のことでは、平塚らいてうや市川房枝が有名ですが、福澤は彼女らに先んじて女性の解放のことを訴えていました。

　実は、私は、長年、福澤の女性解放のことについて勉強をしており、その方面の福澤の著作の現代語訳に取り組んでいます。特にその集大成である「女大学評論・新女大学」については現代語訳を完成して、各方面に配布しておりましたが、昨年、慶應義塾大学出版会からこれを出版して本の形にしなさいという指示を受けまして、昨年11月にこのような形で慶應義塾大学出版会から出版いたしました。私は、皆さんのような若い女性そして男性の皆さんに読んでもらいたいとの思いから出版しましたので、本日、皆さんのご卒業の記念にお渡ししたいと思います。本日、職員室においておきますのでご希望の方は持ち帰ってください。もちろん、代金は不要です。

　この本の前文でも触れていますが、この学園の創設者の加藤カツは女性解放の強い信念を持つ人でした。皆さんは加藤カツの遠い教え子にあたる訳です。どうぞこれからも女性の解放について強い意識を持ち続けていただきたいと思います。

（校長）